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ピエゾフィルム適用例

生体信号ソリューション

 

はじめに

ピエゾフィルムは軽く、極めて柔軟性があり、極めて丈夫で衝撃や曲げに強い。外部電源を必要とせず、引っ張られると、伸びの量に比例して上下電極間に電気信号を発生する。厚さ28μmのピエゾフィルムの場合、長さ方向1μεの歪(1ppmの変化)に対し、10m〜15mV程度の高い動的圧力感度を示す。これらの特徴は、極めて低いレベルの信号検出が要求される広範なメディカル・アプリケーションに適している。本稿ではピエゾフィルムセンサとそれらを用いた生体信号の検出方法を実例で紹介する。
 

皮膚への直接接触

動的歪ゲージとしてのピエゾフィルムの特徴を活かして、皮膚に直接貼付して使うことができる。TE社のFDT1-028KA(図1)は、片面に接着剤のついた汎用センサエレメントである。

図2は下限周波数設定1Hz、感度1mV/pCでチャージアンプを用いた時に得られた脈拍の波形である。出力はおよそ130mVpp(開路電圧は約100mVpp)であり、約8μεの動的歪と解釈できる。

この波形は手が休んでいる状態の時のものである。プリアンプで下限周波数が設定されている場合は特に、手首を曲げたり回したりすると、さらに高い振幅の信号が発生する。図3の例は、物を掴んで離す動作を繰返した時のセンサ出力である。開路電圧約3V(歪は約250με)。

このように小さな振動と大きな動きの両方が観測できるのは、ピエゾフィルムの応答が広いダイナミックレンジに亘ってリニアであるためである。測定信号の周波数帯域とノイズ成分が充分に離れている場合は、振幅の小さな信号でもフィルタ処理によって抽出することができる。

睡眠障害の研究では、胸や、足、瞼の筋肉と皮膚の動きの検出にも同様のセンサが用いられてきた。また、麻酔効果の確認指標として、電気的刺激に対する筋肉の反応も検出することができる。

 

図1
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図2

図3

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加速度センサ

TE社の Minisense 100は錘付きカンチレバータイプの加速度センサで、丈夫なPCB素材で構成され、接続用ピンがついている。

錘により慣性力に反応し、ピエゾフィルムが曲がることで非常に高い感度(約1V/g)を実現する。

病院のスタッフメンバーや患者が着用する無線送信機付きの“スマート・バッジ”にこのセンサを使い、生体信号を検出して定期的に信号を送信させ追尾や位置確認を行う。バッジは人から取り外されるとスリープモードに入り、筋肉による揺れや、体の動き、脈拍の振動を検出した際には再びアクティブ状態となる。

軽く弾力性のあるストラップで胸にセンサを固定すると、心臓の鼓動を捉えることができる。インターフェイス回路の下限周波数を非常に低くすることで、呼吸も観測可能となる(図4)。この波形では、胸壁の動きは1周期約4秒の周期信号、心拍はおよそ1秒の周期信号として観測できる。呼吸信号とノイズを除去するには、フィルタの下限周波数を1Hz、上限周波数を10Hzに設定する(図5)。

図5の波形は安静時の患者のものである点に注意したい。当然ながら、加速度センサを用いると体の動きが信号に大きく反映される。ペースメーカーでは、センサ部が1.3mm×3mm程度の小さなカンチレバータイプの加速度センサが使われており、体の動きに応じて適宜ペースを調整するようになっている。

 

図4 図5
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聴診器アプリケーション

ピエゾフィルムは丈夫で、高感度、広帯域なため、電子聴診器に採用されている。このアプリケーションでは、センサはある程度の反力を持って体に当てる必要がある。一端、動圧信号が電気信号に変換されれば、信号の情報はフィルタ処理や増幅による強調や、オーディオ信号としての再生が可能である。

より複雑なアルゴリズムを用いて解析し、特定の状態を検出することもできる。また、データリンクを介して、リモートステーションへ転送し、解析、保存することも可能となる。

 

センサアレイ

コンパクトなセンサを用いると同時に多くの箇所をモニタすることができる。Deep Breeze社では、患者の吸入と排気の際の音データ採集に最大100個のセンサアレイを使用している。センサは小さなバキュームカップにより皮膚に取り付けられる。測定データは信号処理され、気道と肺を通る空気の流れがアニメーションとして視覚化される。障害や異常があれば、この処理画像にはっきりと現れる。体に負荷のないこの手法は、レントゲンに代わるより安全な代替案を提議している。

 

ベッド内でのモニタ

体に直接接触しない使用例としては、心拍や、呼吸、体の動きの検出に、ピエゾフィルムやピエゾケービルがマットレスの一部に使われている。Hoana Medical社のLifebedシステムでは、ベッド上の患者の生体情報を負担なく測定するために、ベッドカバーに仕込んだセンサアレイが使われており、衣服や、ガウン、シートを通しての正確な測定が可能である。フレキシブルスイッチで患者の存在を検知し、ピエゾフィルムが患者の生体信号を電気信号に変換し、ベッド脇のアラーム付きディスプレイユニットに結果が表示される。このシステムは離床と同様に、患者に直接接触することなく、心拍や呼吸異常の早期警告を行うことができる。
 

乳児の呼吸モニタ

歪に対して極めて高感度であるピエゾフィルムは、乳児の呼吸モニタ用に使われている(Infantrust社の育児用品Respisense)。Respisenseには乳児の腹部に接触するよう、ピエゾフィルムがオムツのウエストバンドに取り付けられている。設定された時間内に動きが検知されなければ、振動ブザーが起動し、赤ちゃんに呼吸を促すよう刺激する。もし、その後、短時間の内に反応がなければ、大きなアラームが鳴る。

呼吸の焦電検知

ピエゾフィルムの動的温度変化に対する高感度性(28μm厚で8 V/°C程度)を利用した例として、英国C-Lect Medical社の開発したPIPPAモニタがある。これは小さなピエゾフィルムエレメントをマスク内部で鼻と口の近くに固定し、呼吸を検出するものである。呼吸の吸い込みと吐き出しで生じる空気の温度変化は大きな電気信号を生じさせ、呼吸の検出が可能となる。PIPPAモニタはバッテリー駆動の小さなユニットで、1分当たりの呼吸回数をLCDディスプレイに表示する。同じ原理がピエゾフィルムを使用した接触型センサにも使われている。上唇の上につけ、鼻や口からの空気の流れを検出する。サーミスタに比べ感度が非常に高く、応答速度も速い。
 

結論

様々なアプリケーション例で見られるように、患者や、被験者の生態情報をモニタシステムへ送るセンサとして、ピエゾフィルムは従来からのコンポーネントを置き換え得る多くの特徴がある。ピエゾフィルムのこれら多くの利点は、今後多くの医療機器に活かされて行くだろう。

 

 

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